気になるビールとプリン体の関係|正しい知識で健康生活

気になるビールとプリン体の関係

社会的な健康ブームを受けて、最近では「プリン体ゼロ」をうたう飲料を良く目にします。プリン体は、痛風などの原因となるため、たくさん含まれるビールを避ける人もいるのではないでしょうか。しかし、プリン体は身体にとってなくてはならない成分であり、人間自ら作り出すものでもあります。

ここでは、プリン体とは何かを確認しながら、ビールとの正しい付き合い方について考えていきます。

そもそもプリン体とは?何がいけないの?

「プリン体=ビール」と思っている人もいるかもしれません。しかし、プリン体は肉や魚、穀物、そして野菜にも含まれている成分です。プリン体は体を動かすのに必要なエネルギー伝達物質の一つで、人間にとって一定量は必要になります。また、食品から摂取することもありますが、なんと約8割は体内で生成されているのです。

プリン体が避けられる理由は、プリン体が分解されると尿酸という物質に変化し、これが高尿酸血症・痛風の原因となってしまうからです。通常の量のプリン体であれば、エネルギー代謝の過程において肝臓で尿酸に変えられた後、腎臓や腸管を通過して排出されます。

ところが、何らかの問題によってその量が過多になると、高尿酸血症や痛風を発症しやすくなるのです。さらに、高尿酸血症から高脂血症、高血圧、尿路結石、腎障害といった合併症が起こる場合もあり、重症化するリスクも高くなります。

ビールは本当にワルモノか?

プリン体は、食品中の旨味成分でもあり、痛風が別名美食家の病とも呼ばれるのはそのためです。さらに、プリン体はアルコール代謝時にも生成されます。そのため、暴飲暴食を続けていると、プリン体が原因となる病気を引き起こす可能性があります。

アルコール飲料100g中のプリン体含有率

ビールとプリン体の関係について見ていきましょう。良く飲まれているアルコール100gに含まれるプリン体の量は、以下の通りです。

・ビール:5.7mg
・日本酒:1.5mg
・ワイン:0.4mg
・ウイスキー:0.1mg
・焼酎:0.1mg
※参照:ビール酒造組合

上記を見てわかるように、ビールは確かにアルコールの中ではプリン体が多いといえるでしょう。蒸留酒にはあまり含まれず、醸造酒のほうが多めの傾向です。さらに、アルコール自体が血中尿酸値を上昇させるという問題もあります。実際に、量が多くなくても毎日ビールを飲み続けると、数年後には血清尿酸値が上昇するという報告もあるので注意が必要です。

多量にプリン体を含む一見ヘルシーな食品

一方で、ビール以外でもプリン体を多く含む食品はたくさんあります。例えば、一見ヘルシーに思える煮干し、かつお節、干ししいたけ、レバー類、丸干しいわし、大正エビ、まあじなどは100gあたり100~400 mgと、含有量だけ見ればビールよりもはるかに高い含有量です。

ここから考えると、ビールだけが病気の原因になるとは一概にはいえません。実際に、高尿酸血症の原因は食事・飲酒などの影響が2~3割、体質的な影響が7~8割を占めているとされています。そのため、症状が悪化している場合には、ビールの禁止や食事療法だけで改善するのは困難です。

プリン体に関係する病気の発症は、体質に加え肥満、脱水、食べ過ぎ、飲み過ぎといった生活習慣が原因となると考えられています。

ビールとの正しい付き合い方

プリン体についてビールを考えたときに、どのような点に注意していけば良いのでしょうか。まず、知っておきたいのは、「ビールを避けても痛風にならないとは限らない」ということです。「ビールを飲まなければ良いのだ」と考えて焼酎などを選択する人もいますが、含まれるプリン体が少なくてもビールよりも焼酎が良いとはいえません。

アルコールの分解の過程において、プリン体は体内で生成されます。大量のアルコール摂取は、いずれの場合でもリスクが高まるといえるでしょう。同様に、プリン体ゼロ飲料であっても、アルコールによる影響は出ます。ただし、ビールを飲み続ければ含有されるプリン体とアルコールの作用と相まってリスクが高まるともいえるでしょう。

プリン体が悪影響とならないビールの目安は、1日500mlまでとされます。プリン体を意識するのであれば、ナッツやチーズ、卵、豆腐、枝豆といった尿酸値を下げる食品を一緒に摂るなどのバランス感覚が大切です。ビールのつまみにレバー、締めに海鮮だしのラーメンといった生活は、プリン体に関しては高リスクでしかありません。

ビールだけを悪いと考えず、プラスマイナスで考えることが最も重要です。

まとめ

ビールとプリン体の関係

・尿酸値高めであれば、医師の指導に従った食生活が賢明
・ビールでなければ大丈夫といった自己判断は禁物
・プリン体を大量に含む食品は意外と多い
・食生活のバランスと生活習慣が重要

数値上では、他のアルコールに比べてビールのプリン体が多いことはたしかですが、ビールばかりが悪いわけではありません。ビールを控えていても、プリン体の多い食材と濃度の高いアルコールを摂取し続ければ、病気のリスクは高くなります。プリン体について正しく理解することで、ビールとの健康的で楽しい付き合い方が可能となるでしょう。

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